超個人的漫画批評

Hello Manga Lovers all over the world, 漫画と共に歩んできた三十数年。 漫画喫茶に20代の全てを注ぎ込み、漫画こそが最高の娯楽だと信じてきた。 少年少女青年、昭和平成、時代もジャンルも問わずに読み続けてきた。 自身を形成しているのは漫画と言っても過言ではない。 そんな人生に少し後悔もあるが、、、此の先に在る奇跡を目指し、超個人的漫画批評、はじめよう、、 さぁ 、行こうか。

熱笑!! 花沢高校(80点)

熱笑!! 花沢高校(80点)

作者 どおくまん

週刊少年チャンピオン 全29巻

 

不良漫画の聖書中の聖書。一体何人の漫画家たちがこの漫画に影響を受けたのだろうか。まず、主人公の力勝男の風貌である。今まで数多くの漫画を読んできたが、鼻毛が出ていながら、かっこいい漫画の主人公を力勝男以外一人たりとも見たことはない。

 

カッコ良すぎである。そもそも、不良漫画で鼻毛が出ているキャラクター自体、探すのが困難だろう。熱笑!! 花沢高校は、タイトルにもある通り、当初はギャグ漫画からスタートした。後のストーリーを少しでも想像していたら、どおくまん先生もキャラデザをもうちょっと考えていただろう。

 

しかしながら、物語が進めば進むほど力勝男のかっこよさは増していく。なぜカッコ良いのか、はっきりとした理由を言えと言われるとすごく困るが、圧倒的にカッコ良いのだ。個人的には、vs回天高校、vs三人衆、あたりが一番面白いと思う。回天高校のチンピラとパチ屋で遭遇して、蹴り上げて天井に突き刺さるシーンは、勝男が強すぎて、正直震えた。火野と獣田のタイマンやその後のやりとりなど、渋すぎる。これは絶対に昭和の時代だから成り立つ話だ。今時、こんなに任侠道に溢れた不良がいるとは思えない。

 

また八方拳や大回転旋風脚の様な必殺技の登場も特筆するべき点だ。中国拳法の奥義だという出所も、どうくまん先生のセンスを感じる。幼少期、私の周りの子供達は、「かめはめ波」や「霊丸」をよく真似していた。もちろんその二つの技は私も大好きなのだが、私の記憶が正しければ、一人きりのプライベートで、私が初めて練習した漫画の技はこの「八方拳」だ。もしかしたら出来るかも、と思わせるどおくまん先生、流石です。大回転旋風脚を弟に2度ほど食らわせた事は内緒である。

 

前半〜中盤にかけてのストーリは、後の不良漫画に多大なる影響を与えていると思う。力勝男がとてつもなく頼もしく、また獣田三郎が出てきた時の完全なる勝ちフラグ、火野や富岡の出来る参謀ぶりなど、爽快の一言に尽きる。キャラ立てレベルの高さは、少年漫画界隈ではトップクラスだと思う。戦闘バイクが出てきたあたりからちょっと破綻し始め、ゲリラ戦などに至っては、目も当てられない。もう好きにしてちょうだい、といった感じだ。先ほどの、キャラクターの風貌の話に少し戻るが、風祭にあのホクロは必要だったのか。疑問が残る。

 

最後に、数々のカッコ良いシーンなのに、どおくまん先生がどういう気持ちで青ヒゲのテンテンを書いていたがすごい気になる。しかし、キャラクターの風貌の話を差し引いても、いや、そこを含めて、この「熱笑!! 花沢高校」は素晴らしい漫画である。他に類をみない爽快さ、真の漢を感じたい方には是非お勧めします。