超個人的漫画批評

Hello Manga Lovers all over the world, 漫画と共に歩んできた三十数年。 漫画喫茶に20代の全てを注ぎ込み、漫画こそが最高の娯楽だと信じてきた。 少年少女青年、昭和平成、時代もジャンルも問わずに読み続けてきた。 自身を形成しているのは漫画と言っても過言ではない。 そんな人生に少し後悔もあるが、、、此の先に在る奇跡を目指し、超個人的漫画批評、はじめよう、、 さぁ 、行こうか。

のたり松太郎(95点)

のたり松太郎(95点)

作者 ちばてつや

ビッグコミック 1-36巻

 

この漫画は、私の漫画人生の中で最も重要な漫画の一つだ。この漫画において、無駄なエピソードは一話たりとも無いと思う。

 

まず、漫画全体を通しての雰囲気が最高に良い。まるで昭和中期を旅しているかのような錯覚に襲われる。何気ない土手の風景、夜の繁華街、風情が半端じゃない。こんな時代に生まれたかったな、と本気で思わせる漫画は以外と少ないが、この「のたり松太郎」はその数少ないうちの一つだ。一巻で西尾のじいさんとの炭鉱でのシーンは、この時代に生まれていない私でも、なぜかノスタルジックに感じてしまうほどだ。

 

そして、松太郎はもちろん、他の登場人物もみんながみんな素敵だ。田中関や青木(後の床山)などは、友達になりたすぎて、頻繁に夢に出てきたほどだ。この漫画は、スポーツとしての相撲だけでなく、相撲取りの日常についても事細かく描写されている。そこがまた素晴らしく、この漫画が他の漫画とは比べものにならないほど濃い密度で、一切読者を飽きさせない。登場人物はみんないい奴で、こんな人たちに囲まれるなら、相撲取りを目指しても良かったかなと今は思う(大嘘。

 

現在、角界には沢山の問題があるが、序の口の時点で全員この漫画を読むべきだ。そして、十両に上がった段階でもう一回読もう。愛の無いかわいがりなんて絶対なくなるから。

 

点数は100点としたかったが、物語がまだ続くという希望も込めて95点に。ちばてつや先生も、「のたり松太郎は私のライフワーク」とおっしゃっている様なので、ご高齢かと思いますが、結婚後の幸せな田中さんを拝見できる日を待ち望んでおります。