予告犯 -THE COPYCAT-(69点)
予告犯 -THE COPYCAT-(69点)
原案 筒井哲也 漫画 小幡文生
ジャンプ改→週刊ヤングジャンプ 全3巻
先日レビューした、予告犯のスピンオフ作品、「予告犯 -THE COPYCAT-」。ファンには、なかなか嬉しい内容になっている。原案は、オリジナルの筒井先生によるものだが、漫画は小幡先生が手がけているため、画の雰囲気は少しオリジナルと違うものになっている。個人的には、筒井先生の絵面の方が好みではあるが、そこまで乖離したものでもなく、その点はオリジナルファンにも優しいと思う。
ストーリーは、オリジナルの予告犯と同じ時間軸で進む。オリジナルの「シンブンシ」とは直接の接点は無く、彼らの模倣犯という所から物語は展開していく。ここら辺の設定が、よくある「その後」のスピンオフとは異なり、なかなか興味深い作りになっていると感じた。
いきなりバーで体の関係を持ちかけてくる客、息子の財布からお金を抜き取る父親など、オリジナル同様、1話目から相変わらずのクズ野郎たちが登場する。上々の出だしである。そして、序盤で早速そんなクズ野郎の中のクズ、田崎が登場する。
登場から数コマだけで大体の読者達には、田崎がどの様な男か伝わったと思う。救いようの無い男である。序盤から、なかなか読者の心を掴む展開だ。序盤からいきなり自然に入り込めるストーリー、しっかりとしたキャラ立て。オリジナルに勝るとも劣らぬ掴みである。
恭子ちゃん、かわいそうだな。タダでさえ辛い人生送ってるのに、高校生にしてこの仕打ち…猛流くんと草太くんがあのような行動に出るのも納得だ。俺氏が近くにいたら、絶対に守ってあげていたのに…断言しよう。美女キャラクターは漫画を読む上では非常に重要なのである!!
この事件がきっかけで、猛流くんと草太くんによる「シンブンシ」の模倣は始まった。タイトルにもあるコピーキャットとはここから始まったのである。オリジナルにも劣らない、クズ人間達も順調に登場してくる。
子供を虐待する母親のこのコメントや、貧乏な出生だけのせいで真面目に働いているバイトを疑うコンビニ店長。相変わらずの胸糞の悪さである。ここら辺は筒井先生、さすがの表現力です。
ストーリーはというと、先ほどのクズ同級生・田崎がいつの間にか仲間になって、キルマザーとかいうよく分からない変質者が登場して、物語も終盤に向かっていく。最終的には猛流くんが、一人だけ犠牲になるという、オリジナルを連想するエンディングとなっているのだが、なぜかオリジナルほど腑に落ちない。100%共感はできないまま終わってしまったという感は、拭えない。ただ、ストーリーとしてはもちろん面白く、私の様にオリジナルを好きな読者には、十二分に楽しめる内容になっていると思うので、その点に関しては素晴らしい思う。