マンホール(71点)
マンホール(71点)
作者 筒井哲也
ヤングガンガン 全3巻
さて、筒井哲也先生シリーズ、第3作目はマンホール。先日レビューした、予告犯シリーズの始まる6年前の作品です。相変わらず、この手のサスペンスの描き方は上手いですね。ストーリーの出だしから読者の心を掴むのはもちろん、もうタイトルと表紙から興味をそそられますよね。
前回の予告犯シリーズでも言及しましたが、筒井先生は実在する事実やアイテムをうま〜くストーリーに混ぜてくるので、読んでいて妙にリアリティを感じる。今作品で言うと、「フィラリア」という寄生虫が出現する。「フィラリア」という言葉が出てきた瞬間、ついついググってしまったwwwすると、やはりそこは筒井先生、抜かりは無い。実在するのだ。この寄生虫に関する説明を読むと、どんどん恐怖感とリアリティが増してきた。(作中で登場するスパトニンという薬も、実際に存在する薬で、原虫症の治療に使われる薬らしい…)
もちろん、ほとんどの部分は作り話と分かっていても、ストーリーの運び方と筒井先生のこの画力の高さで、「もしかしたら、こういう事態も起こり得るのではないだろうか。」と思わせて、怖さを倍増させる。ある県では1巻が有害図書に指定されただけあって、作品は全編なかなかのグロ描写が続く。
また、ロボトミー手術も今作品で登場する。ロボトミー手術の存在は、映画シャッターアイランド(レオナルド・ディカプリオ主演)で知っていたので、素直に「筒井先生、ここでこれをもってくるとは、流石だなー。」と感じた。
ここで少し登場人物の紹介をしよう。
溝口刑事。どこからどうみても、仕事めちゃくちゃ出来る&いい人である。1話目でこういう人が出てくると、読者としては少し安心感が増す。物語が進んで苦しい状況になると、きっとこいつがなんとかしてくれるだろうという、根拠もない淡い期待だが、8割9割当たっていると思う。ちなみに、口から飛び出している物体は、爪楊枝のように見えるが、禁煙中のためのチュッパチャプスだ。作中で、「ストロベリー味は食うなよ。」みたいなコメントが飛び出すのだが、ここら辺は厨二的影響を感じた。
そして、ヒロインなおたん。クールな性格が素敵で、ちょっといじめられたいと思った。
ストーリは大変面白いのだが、ちょっとフラグが分かり易すぎて、冷めてしまったというのも事実だろう。
物語冒頭、彼女とニキビがどうこうのくだり、、、「あ、こいつ死んだ」と0コンマで思った。
刑事の足に包丁が刺さるシーンとかwww
「溝口刑事!!もっと慎重に!」
あれだけ血液には気を付けてと言っていたのに、小学生レベルの危険察知能力!!
最後に、物語が進むに連れて、クールだったなおたんが感情をむき出しにするのはちょっと萌えます。